大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(ネ)1009号 判決

被控訴人は、昭和四七年一〇月五日、本件借地非訟事件の決定において、被控訴人は控訴人に対し金四九万五、〇〇〇円を支払うことを条件として本件(一)の建物を本件(二)の建物に改築することを許可され、同決定は控訴人の抗告が棄却されて確定し、被控訴人は、右許可にしたがい前記金員を控訴人に提供したが受領を拒絶されたのでこれを供託したうえ、本件(一)の建物を取り毀わすことなく、本件(二)の建物を建築したこと、右のように被控訴人において(一)建物を取り毀わさないで(二)建物を建築したのは、控訴人が(一)建物の朽廃を理由に本訴を提起しこれが係属中であったためで本訴訟終了後これを取り毀わす予定でいること、本件土地賃貸借契約には一切の増改築を禁止する旨の特約が付せられていることが認められる。ところで、改築とは、通常、従前の建物に代えて同一場所に建物を建築することをいうものであるけれども、改築すべき建物の規模、構造からみてかならずしも同一場所に建築されることとはならない場合もあるし、また賃借土地内において改築工事を施工する際その完成まで旧建物に居住する必要のある場合等もあって、必ずしも改築前の建物を完全に取り毀わした後でなければ改築工事に着手してはならないというわけのものではなく、ただ、右の場合改築に藉口して改築前の建物を取毀わすことなく、新建物を建築し、両建物を併存所有し恰も新建物を増築したにすぎない場合にはもはや改築についての許可があったことを理由に建物の増築禁止を免がれることはできないものというべきところ、被控訴人が本件(一)の建物を取り毀わすことなく本件(二)の建物を建築したのは、本件(一)の建物の朽廃を理由に控訴人において本件土地賃貸借契約の消滅を主張して本訴を提起しているためで、本件(一)の建物が存在することは被控訴人においてその朽廃の有無を争うためには必要な証拠資料であることが明らかであって、他方被控訴人において本訴訟終了後は前記本件借地非訟事件の許可決定の趣旨に則り本件(一)の建物を取り毀わす予定でいることからみて、あながち不当な措置と目すべきではなく(ただ、本件訴訟終了後においてもなお本件(一)の建物を取り毀わさずに本件(二)の建物を併存所有するにいたるときには増築禁止の特約違反の問題が生ずる余地はある。)、被控訴人が本件(一)の建物を取り毀わさずに本件(二)の建物を建築したことをもって直ちに控訴人主張の増改築禁止の特約に違反するものということはできないから、控訴人主張の解除をもって本件土地賃貸借契約は終了しないものというべく、したがって、この点に関する控訴人の主張は理由がない。

(久利 舘 安井)

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